KITA Eng.sub

KITA Eng.の別館。北海道でサーバーとかICTとか教育とかについて考えている人が綴るblog。

「『次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ』に関するパブリックコメント」が始まったというので...

ちょっと前までは、新学習指導要領とか省略して「新カリ」なんて呼ばれていた(る)――学習指導要領(平成20年3月・平成21年3月改定)ですが、もうさすがに現行学習指導要領という呼び名が普遍的になってきたのかな。文部科学省のWEBページの表記もそんな恰好なので。

とかいってぼやぼやしていたら、もう次の学習指導要領の話の大枠が煮えてきているという様子。各種報道で「小学校でもプログラミング教育を!」みたいなのはちらほら聞いていた気がしますね。あとは、「公共」とかいう謎の教科ですか...。

そんな次期学習指導要領の改定に向けた審議のとりまとめが公表されて、パブリックコメントの募集が先日(9月9日)から始まったということのようです。 search.e-gov.go.jp なお、締め切りは、2016年10月07日とのこと。

まとめの第一部は結構なボリュームでしたが、思ったよりまともなことを書いていて、安心しました。なんだか報道の話だけ聞いているとどこに向かっていくのやらな教育議論ですけど、結構真面目に中心の人たちは考えてくれているのだなと思いました。

が、報道ででも話題に上がった「プログラミング教育」に関わるであろう「情報科」の部分の文章を読んだら...やっぱり情報の先生どうするのな内容でした。

Pair programming

科目構成の見直し ――まぁ、いいのでは?

ア 科目構成の見直し
情報科の科目構成については、現行の「社会と情報」及び「情報の科学」の2科目からの選択必履修を改め、問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む共通必履修科目としての「情報Ⅰ(仮称)」を設けるとともに、「情報Ⅰ(仮称)」において培った基礎の上に、問題の発見・解決に向けて、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や情報コンテンツを創造する力を育む選択科目としての「情報Ⅱ(仮称)」を設けることが適当である。(別添14-4を参照)
次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ(第2部)(情報、主として専門学科において開設される各教科・科目、道徳教育) (PDF:2280KB) 」より

選択必修にして結局「社会と情報」がメインになっちゃうよね。「情報の科学」採択できるのは、やる気のある専門の情報の先生がいるところだよね。という現象の散見からは開放されて、「情報科」としての目的とか目標とかには近づく強制力をもったように思います。

教育内容の見直し ――ずいぶんと攻めますね...

イ 教育内容の見直し
情報科については、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を育むとともに、情報と情報技術を問題の発見・解決に活用するための科学的な考え方等を育むことが求められている。そのため、具体的には、コンピュータについての本質的な理解に資する学習活動としてのプログラミングや、より科学的な理解に基づく情報セキュリティに関する学習活動などを充実する必要がある。また、統計的な手法の活用も含め、情報技術を用いた問題発見・解決の手法や過程に関する学習を充実する必要がある。
○ これを踏まえ、「情報Ⅰ(仮称)」においては、プログラミング及びモデル化とシミュレーション、ネットワーク(関連して情報セキュリティを扱う)とデータベースの基礎といった基本的な情報技術と情報を扱う方法とを扱うとともに、情報コンテンツの制作・発信の基礎となる情報デザインを扱い、さらに、この科目の導入として、情報モラルを身に付けさせ情報社会と人間との関わりについて考えさせることとして、内容を構成することが適当である。
○ また、「情報Ⅱ(仮称)」においては、情報システム、ビッグデータやより多様な情報コンテンツを扱うとともに、情報技術の発展の経緯と情報社会の進展との関わり、さらにAIやIoT等の技術と今日あるいは将来の社会との関わりについても考えさせることとして、内容を構成することが適当である。
○ なお、プログラミングに関しては、中学校技術・家庭科(技術分野)においても充実させることとしており、情報科の内容の検討に当たっては、学習内容の適切な接続・連携により学習に広がりや深まりが生まれるよう留意する必要がある。さらに、小学校段階におけるプログラミングの体験を通じて「プログラミング的思考」を育むことや、学校外におけるプログラミングに関する学習機会の充実に向けて、種々の検討や、企業、NPOにおける取組等がなされており、これらの動向も考慮して検討する必要がある。
次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ(第2部)(情報、主として専門学科において開設される各教科・科目、道徳教育) (PDF:2280KB) 」より

必修となるらしい「情報Ⅰ(仮称)」の内容の、「プログラミング及びモデル化とシミュレーション、ネットワーク(関連して情報セキュリティを扱う)とデータベースの基礎」って大丈夫ですか。
データベースの基礎は、おそらくExcelとかいう表計算ソフトを使った形でラップして、ネットワークは、情報セキュリティとか情報モラルでラップするとして、「モデル化とシミュレーション」はどうするのか全く想像がつかない...。何させるの?
とちょっと一抹の不安はあれども、うまくこれまでのように、情報科の専任がいない学校もなんとか、おしながきをラップして実施できそうです。

一方で、「情報Ⅱ(仮称)」は攻めすぎてないだろうか。いや、これが専門学科における「情報」ならいいのだが、普通科における「情報」のくくりに置くのはどうなのやら。「情報システム、ビッグデータやより多様な情報コンテンツを扱うとともに、情報技術の発展の経緯と情報社会の進展との関わり、さらにAIやIoT等の技術」って、確かにホットで、IoTとかは工作とかもできて楽しいし、探求活動的に使うにはステキだと思うけれども、現行指導要領の「生物」みたいにハードル上げ過ぎちゃって、先生も生徒も大変なことになってしまって、結果的に学習指導要領の目標のところまでなんてたどり着かないよが大量発生しないかと心配。
いろんな意味での環境整備の充実が必要でしょう。ミサイル作ってる場合じゃないよ。


以上、とりあえずの雑感を述べておきます。
本丸の第一部の方とかも結構面白かったので、かけたら書きます。そしてパブリックコメントも書いてみようか。